強制執行について

今回は強制執行について

 

 

強制執行にもいろいろありますが、今回は金銭の回収を目的とする強制執行について書いてみたいと思います。

 

 

例えば、金銭の回収を目的とした裁判で勝訴判決を得たとします。この場合、相手が観念してお金を払うことがあります。しかし、判決が出ても意地でも払わない人や現金がなく払えない人もいます。そういうときには、強制執行をすることになります。強制的に相手の財産からお金を回収するのです。

 

 

このタイプの強制執行には、不動産から回収する、動産から回収する、債権から回収する、などがあります。

 

 

まず、不動産から回収する方法について。簡単にいうと、不動産を売ってお金に換えるのです。こういうと、すごく簡単そうに聞こえますが、実際は、できるだけ高く売らないといけないので入札をします。

そのためには、不動産の状況を調査したり、価格を評価して入札の基準となる価格を決めたりするので手間がかかります。そのための費用もかかります。

 

 

そして、一番の問題は、不動産に抵当権などがついているときには、抵当権者がまず優先しますので、抵当権者が回収しても残りがある場合しか強制執行はできないのです。そもそも経営が行き詰まっていてお金を払えないというケースの場合、たいてい所有する不動産には抵当権が設定されていますから、回収が困難な場合が多いです。

 

 

次は動産執行です。動産執行とは、動産をお金に換えるのです。

しかし、お金に換えられるものは限られています。

まず、生活に必要なものはお金に換えられません。衣類、テーブル、タンス、家電等は無理です。

 

 

生活必需品でないもので高価なものはお金に換えられる場合があります。

ただ、よほど高価なものでないと、手続費用のほうが高くつくということで、駄目ということになります。可能性があるとすれば、高級腕時計とか高価な宝石くらいでしょうか。

 

 

最後に債権執行です。債権執行で一般的なものは預金と給料です。

預金口座を差し押さえるには銀行と支店を特定する必要があります(口座番号までは必要ありません)。

 

 

給料の差押えは、給与所得者で職場が分かっている場合には比較的容易です。ただし、給料はその人の生活費になるものなので、生活ができなくなるような差押えはできず、一定の制限があります。

 

 

そして、どの種類の強制執行の場合でも、どこにどういう財産があるかは、申し立てる人が申告しなければなりません。裁判所などが探してくれるわけではないのです。

 


このように、強制執行は公権力が強制的にお金を回収するという最後の手段なのですが、常に確実に回収できるというものではありません。
お金の回収で法的手続きを考えている方は、上記の点を注意しておいてくださいね。