以前から古いコインなど希少性のある物は取引に出されていたのですが,最近話題になったのは現行紙幣です。
たとえば「1万円札4枚を4万7000円」などで出品していたのです。
普通に考えれば,そんなものを買うと損をするような気がしますが,実は買う人がいます。
その理由は,いわゆる多重債務者が,クレジットカードのキャッシング枠を使い切ってしまい,それでも返済のために現金が必要なので,枠が空いているショッピング枠を利用して現金を入手していると考えられます。
この点,法律上問題はないのでしょうか。
この取引の実体を見ると,まず,4万円を出品した人はクレジット会社から4万7000円を受け取ることになります。
次に,購入した人は,約1か月後に4万7000円が口座から引き落とされます。
購入した人から見ると,4万円を一時的に手に入れて約1か月後に4万7000円を支払う訳ですから,4万円を借りて7000円の利息を付けて返しているようなものです。
このような実体を「金銭の貸し付け」とみなすことができれば,出品者の行為は「貸金業」にあたる可能性があります。
貸金業にあたるのであれば,貸金業登録が必要で(貸金業法3条),無登録営業は犯罪になります。
また,貸金業に該当する場合,金利は最大で年率20%までしか許されません(出資法5条2項)。
先ほどの例でいえば,年率に換算すると200%を超えますので,確実に違法です。刑事罰もあります。
このような問題の指摘を受けて,メルカリは現金の出品を禁止して,出品を発見した場合には削除しているようです。
しかし,メルカリについて調べていると,現金出品以外にも問題があるようです。
メルカリの制度では,売買が成立した場合に,買主から支払われた代金をいったんメルカリが確保してから売主に渡すというシステムです。
このシステムが出資法で禁止されている「預り金」にあたるのではないかという指摘もされているようです。
「預り金」は銀行法などの特別の規定で許されている場合を除き違法です。
このように,新しい商売の仕組みを考えるベンチャー企業には,常に法律的にグレーな問題がついて回ります。