法律相談をしていると、「父親が亡くなったのだが、遺言書があるかどうか分からない」というような相談をよく受けます。
今回は、遺言書の有無を確認する方法について書いてみます。
遺言書は主要なものとして、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
まず、公正証書遺言については、平成元年以降に作成された公正証書遺言は、日本公証人連合会において、オンライン上で全国の公証役場で作成した遺言公正証書の情報が管理されています。
したがって、全国のどこの公証役場でも公正証書遺言の有無及び保管されている公証役場を検索することができます。
公正証書遺言が存在することが判明し、保管されている公証役場が分かれば、その公証役場に対して遺言書の謄本の交付を請求することができます(なお、原本の閲覧も可能です)。
もっとも、検索を申し出ることができるのは相続人等の利害関係人だけであり、遺言者が生存中は遺言者本人しか検索を申し出ることはできません。
次に自筆証書遺言ですが、遺言者が自筆証書遺言保管制度を利用した場合には、遺言者の死後、相続人等が法務局に問い合わせれば遺言書の存在を知ることができます(遺言書保管事実証明書の交付)。
遺言書が保管されていることが判明すれば、遺言書の内容を確認することもできます(遺言書の閲覧又は遺言書情報証明書の交付)。
しかし、自筆証書遺言を作成したが自筆証書遺言保管制度を利用していない場合には、遺言書の有無を確認することは容易ではありません。
例えば、家の中を探す、親しい人に尋ねる、銀行の貸金庫契約がある場合には貸金庫を開扉する等の方法が考えられますが、どれも確実とはいえません。
自分が亡くなった後に、遺言書があるかないか分からなくなってしまうことを防ぐためにも、遺言書を作成する場合には、公正証書で作成するか、自筆証書遺言保管制度を利用することをお勧めいたします。